イギリスのR大学に留学していた近視読者ことミコーバーの日々の生活を描いたブログ。
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老兵は死なず、ただ消えゆくのみなのか?
2011年10月22日 (土) | 編集 |
オリックスバファローズは10月13日、チーム最年長のベテラン外野手、田口壮選手の退団を発表した。

この衝撃的なニュースに驚いたオリックスファンは、しかしあまり多くなかった。
というのも、これよりさかのぼること約10日前、10月の頭の段階で、複数のスポーツ新聞に、

「オリックス、42歳の田口に戦力外通告!」

という記事が出ていたためだ。

記事によると、田口は春季キャンプで痛めた右肩の状態が未だに芳しくなく、打撃にも影響が出ている、ということで、年齢も考慮して戦力外と判断された、ということだった。ヤフーノヘッドラインをも飾ったこの記事を読んでいた人間からすると、「何を今更」というのが、退団のニュースを聞いたときの率直な感想である。

退団の知らせとともに、球団は談話を発表した。かいつまんで言うと、

「コーチ、スタッフとしてチームを支えてほしいと言いましたが、本人の現役続行にかける思いが非常に強いため、慰留を断念しました。」

とのこと。言い換えれば、けがを抱える大ベテランの田口をもう選手としては雇用するつもりがないが、その経験を生かして、コーチとしてチームを支えてほしい、というのが球団の意図であり、田口が現役にこだわったため、退団と言うことになった、ということだ。

交流戦以降2番打者として定着し、交流戦中盤以降にそれまで低迷していたチームを上昇させるだけの活躍を見せた田口が本当に「戦力外」と呼べるのか、という問題についてはおのおの考えがあるところではあるが、一応、この決定は、納得はいかなくとも理解はできるものだった。

しかし、同日夜、田口本人が口を開いたことで、事態は180度違う様相を呈する。

13日夜、翌日に肩の手術を控えた田口は病床から、ブログを通してファンに1通のメッセージを送った。彼の言葉を要約すると、次のようになる。


「チームが緊迫したCS争いの最中のため、何も言わないつもりだったが、球団の発表が事実とあまりにかけ離れているために、筆を取る。自分は、9月の上旬時本部長から、来年どうする、と言われ、現役を続けたい、と言ったところ、コーチとかスタッフなら、何とかなるんだけどなあ、と言われ、話はそこで終わった。その後9月30日になって球団から正式に、「来期は戦力外です、手術したければしてもらってかまいません、ただ、このことはもう少し黙っておいてください」と言われたので黙っていた。僕は慰留されていないし、コーチ転身のオファーも受けていない。戦力外、クビなんです。」


誰でも、両者の言い分が食い違っていることがわかるだろう。
田口の言葉を100パーセント信じるならば、非は球団にある。田口は言うまでもなく、日本ではオリックス一筋の選手であり、人格者としてチーム内外に知られているベテランである。ミスターオリックスとも言える。そのような選手に対し、正式にコーチの要請をすることもなく、ただ雑談を元にコーチになる気がないと判断して、いきなり戦力外を通告する、というのは、礼を失しているといわれても仕方あるまい。


先程も述べたが、チームが彼を戦力外にすること自体は、納得はできずとも、理解はできる。チームが勝つために、どういう選手が必要か、という尺度で見た場合、40代半ばを迎え、怪我の増えてきた田口は戦力として計算しづらい、と考えることは、十分にあり得るからだ(私はまだまだやれると思うが、同時に、もう無理だろう、という見方があっても不思議ではないと思う)。


しかし、問題は、田口の戦力外の是非、ではないのだ。最大の問題は、球団がこの戦力外という事実を勝手に脚色し、きれい事に仕立て上げていることである。最初にあげた球団代表のコメントを見れば、退団を仕方ない、と考えるファンなら、「球団は誠意を見せたし、もう仕方ない。どこかでがんばって、また引退したら戻ってきてくれ!」と送り出すであろうし、一方退団に反対するファンでも、「まだやれるよ!どっか取ってあげて!!」と思うのみだろう。要するに、このようなストーリーを作ることで、田口という大ベテランを切る、という非情な行為によるチーム内外へのダメージを、球団は最小限にとどめることができるのだ。


ところが、球団が作り上げたストーリーは、田口のブログ記事という別のストーリーによって完全に破綻を見せ、かえって球団の不誠実さを浮き彫りにする形となってしまったのだ。このダメージは大きい。田口戦力外、というニュースが出たときには、多少のざわつきはあってもそれなりにおとなしくしていたファンたちが、今回のこの田口のブログを見て、露骨に球団批判を開始するようになったのは、その衝撃の大きさを示す一例と言えるだろう。


私は、既に述べたように、戦力外自体は仕方がないと思う。まだまだ十分代打としてなら活躍できると思うのだが、岡田監督の今年の采配を見ていると、「守れない選手は使わない」という方針が今まで以上に確固としているように思われ、肩を怪我した田口が一軍のベンチに座り続けられる確率はかなり低いと予想されるからだ(シーズン終盤、代打が欲しいなあ、と思うような場面が多々あったが、それでもファームから、たとえば坪井あたりを上に上げることはなく、最終盤にあがってきたのは、なんと足と肩が自慢の高卒ルーキー駿太だった。これもその方針の存在を示す一例と言えるだろう)。しかし、同じ戦力外でも、やり方一つで天国と地獄、その様相は全く異なる。このようなことをしていては、このチームに残りたい、と思う選手がいなくなってしまうのではないか。そもそも、現在はブログやツイッターなどで選手も自分の思いを発信する場が増えている。そのため、これまでならば表に出なかったようなまずい話が、彼らの声によって明らかにされる、ということは十分に考えられることだ(たとえばソフトバンクの多村も、以前マスコミによって書かれた批判記事に対し、理路整然とそれは違うと反論するブログを書いている)。従って、田口が発言し、球団の情報が嘘だと言うことがばれる可能性は、十分に考えられたことである。にもかかわらず、その可能性を考慮せず、今回のような最悪の形になるとは、まったく、球団フロントは時代についていけない、旧世代の遺物的な頭脳しか持ちあわせていないと言われても仕方あるまい。


オリックスからはこれまであまたの選手がフリーエージェント権を行使して出ていった。主に、パリーグからセリーグ(阪神)に移籍するケースが多く、「やはり人気のあるチームにいきたい」という理由が大きい、と言われてきた。しかしそれと同時に、球団に対する不信感が、彼らの移籍を後押ししてきた、というのもまた事実である。タイガースに移籍した星野や、近鉄に移籍した加藤伸一などは、その好例であろう。その後、FAで逆に村松を獲得したり、昨年は移籍に傾いていた後藤をうまく引き留めたり、と、球団もだいぶ変わってきたかな、と思わされていただけに、今回の事件で球団の体質があまり変わっていないと言うことが浮き彫りとなった。きわめて残念である。この事件が、坂口、大引、T岡田、金子、平野など、将来FA権を得る主力選手たちに影響を及ぼさないことを切に願う。
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