イギリスのR大学に留学していた近視読者ことミコーバーの日々の生活を描いたブログ。
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斎藤の19球
2011年02月26日 (土) | 編集 |
今日の日本は全国的に素晴らしい快晴の一日。各地でプロ野球のオープン戦が開催された。

私の関心事は、もちろん高知でのオリックス阪神戦における高卒ルーキー(17歳とは知らなかった)駿太の活躍であるが、全国的なスポーツファンの関心事は、やはりハンカチ王子こと斎藤佑樹投手のオープン戦初登板ではなかろうか?一時腹痛でリタイヤしていた斎藤投手だが、今日無事、プロとして他の日本プロ野球選手相手に登板した。全部で19球あったのだが、先ほどピッチングを確認した私としては、今日はその19球を暇に分析してみたいと思う(注:決して暇ではない。)

が、その前に、まずは恒例、本日の一言から。


57. It is my belief, Watson, founded upon my experience, that the lowest and vilest alleys in London do not present a more dreadful record of sin than does the smiling and beautiful countryside. (642)26.2

「これは僕自身の経験に基づく意見なんだけどもねえ、ワトソン君、ロンドンのこの上なく低級で邪悪な小通りよりも、ほほえみかけてくるようなこの美しい田舎の風景の方が、恐ろしい犯罪の記録をこちらに見せつけてくるのだよ。」



こんなきれいな田舎で犯罪なんて考えられない、とのんきに述べるワトソンに対して述べたホームズのセリフ。
これはなかなか面白く、かつ有名なセリフである。ワトソンは、美しくのどかな田舎の風景を見て、その美しさに心を囚われる。一方でホームズは、のどか=人気がない、という事実に目が行き、犯罪者が人の目を気にすることなく犯罪を行える、と考える。なるほど、たしかに地方で起こる犯罪、特に子どもに対する犯罪の例を見てみると、「おい、こりゃあ道暗すぎるだろう!」と強くツッコミを入れたくなるような場所で、たいてい事件は起こっている。この事実を考えると、ホームズの言っていることは一理ある。しかし一方で、例えば新宿歌舞伎町のようなごった返した場所もまた犯罪の温床になっているのであり(注:歌舞伎町行ったことないよ、念のため。あくまでイメージ)、どちらがより安全か、と問われれば、その答えは難しい。ただ私に言えることは、せめて美しい物を見たら、素直に感動できるワトソン的な精神を持っていないと、世の中楽しくない、という程度のことである。




それでは、いよいよ斎藤くんの19球の分析へ。

斎藤が登板したのは6回の表の頭から。マリーンズの二年目、清田からはじまる打順である。
では以下、一球ずつ見てみよう。なお、カッコの中に入れているのは、全体の投球数である。もちろん、全部で19番まであるわけだ。


打者一人目:清田(前の打席HR)、右打者。ノーアウトランナー無し。
初球(1)真ん中低めストレート、見逃し。カウント1-0。キャッチャーはもちろん外角低めに構えたが、中のほうに入った印象だ。ただし、完全なボールのため、打たれる心配はない球だった。

2球目(2)外角真ん中からやや高めのストレート、ファーストファールフライ。俗にいう甘い球だったが、差し込まれてしまった印象だ。清田は前打席のHRが頭にあったため、少し振り過ぎたかも知れない。かなりのフルスイングだった。とりあえずあっさり1アウト。


打者二人目:大松(30HR打ったこともあるレギュラー)、左打者。1アウトランナー無し。
初球(3)外角低めストレート。ボール。カウント1-0。

2球目(4)外角低めストレート。ストライク。1-1。これは見事アウトローに請求されていた。

3球目(5)外角低めフォーク。ボール。カウント2-0。

4球目(6)外角低めフォーク。ファール。カウント2-2。崩れるようにして左方向へのファール。ストレートを待っていたらタイミングを外され、しかしなんとかバットに当てようとする左打者の典型的なファール。

5球目(7)外角真ん中から低めのストレート。ボール。カウント3-2。

6球目(8)外角低めフォーク。ファール。カウントかわらず。これまた腕一本でファールにした。

7球目(9)外角高め抜けたフォーク。ファール。カウント変わらず。解説者は「高めでも手が出てしまう」とアホなことを言っていたが、よくみるとフォークが抜けた危険な球であり、手が出るとか、そういう次元のボールではないのが分かる。

8球目(10)外角真ん中ストレート。ファール。カウント変わらず。外角低めに構えたキャッチャーのミットより、やや中に入ってきた。

9球目(11)外角高めストレート。フォアボール。1アウトランナー1塁。低めを狙いたかったようだが、高めに上ずり、明らかなボール球になった(ただし、高校生ならストライクのボールである)。


打者三人目:竹原(主に対左で使われる強打の右打者)、1アウトランナー1塁。
初球(12)外角低めストレート。ボール。カウント1-0。

2球目(13)内角低めストレート。ボール。2-0。キャッチャーは外角低めを要求したが、いわゆる逆球になってしまった。ただ、かなり低いボールだったため、危ない球にはならず。

3球目(14)真ん中低めストレート。ストライク。これも逆球で、こちらは危ない球。
4球目(15)外角低めストレート。ライトへ2ベース。1アウトランナー2,3塁。ライトの陽がダイブしてグラブに当てるが取れず。ライナー性の完璧な当たりだった。ただ、今日一番良いストレートでもあった。


打者四人目:細谷(西岡の後釜候補の一人。右打ち)、1アウトランナー2,3塁。
初球(16)外角ゆるいカーブ。三塁ゴロでホームタッチアウト。2アウト1,2塁。完全に予期していなかった球で、止めようとしたバットに当たってしまった、そんな印象。バッテリーの配球勝ちとはまさにこのことだが、あの局面で初球カーブを投げる勇気を持った斎藤もなかなかのもの。


打者五人目:金澤(控え捕手。左打ち)、2アウトランナー1,2塁。
初球(17)外角低めストレートorフォーク。ボール。カウント1-0。

2球目(18)外角高めストレート。ボール。2-0。カウント2-0。どうも外へ逃げていく、シュート気味の動きをしているように見える。意図的なのかそうでないのか。。。

3球目(19)真ん中少し高めのストレート。三塁ファールフライ。3アウトチェンジ。サードの小谷野がフェンスにぶつかりながらキャッチするというファインプレーで3アウトに。日ハムの守備力の高さを感じさせる一場面だった。

しめて1イニング19球。被安打1,与四死球1,失点自責点ともに0、というデビューになった。

低めを中心に、なかなか丁寧なピッチングを心がけていたように思われる。ピンチで緩い球を初球に投げる大胆さは、なかなか見所があった。
が、やはり気になるのは球威の無さである。昼間にオリックスー阪神の試合を見たが、そこで投げていたどの投手よりも、斎藤の球には勢いを感じなかった。実際、19球投げたが、1球たりとも空振りを奪えなかったという事実がそのことをよく示しているだろう。また、大松にフォーク、ストレートとファールにされていた点も興味深い。フォークにしても良いコースに投げているが、バットに当てられている。つまり、それほど大きな変化をする変化球ではない、ということだ。

ストレートは勢いを欠き、変化球もそれをカバーするほどのキレはない。斎藤の前に続く道は、非常に険しいと言えるだろう。

ただ、私が高校時代に彼に注目したのは、そういう球の速さや、変化球の切れ、という部分ではない。牽制や間の取り方など、ピッチング全体の巧さであった。例えば、これは実際に私がストップウォッチで計測したデータであるが、斎藤は高校時代、ランナー1塁でクイックをする際、変化球を投げた場合のほうが、ストレートを投げた場合よりもタイムが良かった。走者を動かさないための工夫である。また、ハンカチで顔を拭く仕草を含め、間の取り方も絶妙だった。ふっと相手の力を抜かせる、そういう技を持っていたのである。

今日の試合で言えば、あのピンチでのカーブ、あそこに似たようなものを感じた。もちろんあれはキャッチャーのリードであろう。だが、そのリードに答え、ストライクになるカーブを全力で投げたからこそ、あのサードゴロは生まれた。もし、一応カーブを投げてみたものの、高めに浮いてしまったり、完全なワンバウンドのボールになったりしては(そして実際、そういう投手はたくさん見てきた)、全く意味が無い。誰も予期していない球だからこそ投げる価値があり、そしてそういう球は絶対にストライクを取らなければならない。斎藤はそれを理解し、そして実行してみせた。急激にストレートに力が出てきたり、変化球が曲がるようにならない以上、彼がこれからプロ野球で生き抜いていくためには、この持ち味の投球術の部分に磨きをかけていくしかないのではなかろうか?
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コメント
この記事へのコメント
こんにちは。ご無沙汰で申し訳ありません。研究室の番人?と呼ばれている者です(-_-;)最近は少しずつ落ち着いてきまして、その役目も終わりそうです^^

野球ネタくらいには多少出しゃばってもと思いつつ、お邪魔させて頂きます!!

直接見てはいなかったですので、詳細に書いて頂いて状況がわかりました^^ツッコミどころ満載の時事ニュースが多い中、このニュースも凄いですね…「日本一のロッテを相手に、斎藤1回無失点、堂々ピッチング」みたいな見出しを記憶しておりますが、Micawberさんの情報を拝見しますと、レギュラーは(清田・)大松だけですね^^;いかにニュースが大袈裟なのかよくわかります…日本一のロッテという見出しでしたらせめてキム・里崎・今江あたりが入った上で書かないとロッテ側に失礼な気も致します(-_-;)まあ斎藤側もスライダーは投げていない等の言い分はあるでしょうけどです。

球威がないとずっと言われ続けていますので、それに反発するように斎藤はずっと直球直球…とこだわっているのかなとかも思いました。そうなるとフォームの崩れが心配です><やっぱりちょっとコントロールが悪くなってるのでしょうかね。シーズンに入りましたらまた新たに楽しみですが(^^)ただ、若いうちはかわすピッチングではなく、思いっきり投げる若さの特権で勝負してほしい気も致します^_^;

時期尚早なお話のやりとりかもですみません…

近況報告兼ねまして、長々と失礼しましたm(__)m
2011/02/27(日) 08:04:39 | URL | Suzuki #-[ 編集]
Re: タイトルなし
Suzukiさん

コメントありがとうございます。
まさにそのとおりでして、マスコミ報道を鵜呑みにしてはいけません。「バースの再来」がいつまでも夢で終わったのと同様です(笑)。まあマートンとブラゼルがポタラで合体しないと、その域には達することが出来ません。

それはともかく、僕の目には上記のように映りました。後日報道によると、マックス142キロだったそうなのですが、とてもそうは思えませんでした。端的に言って、榎田の135キロの方が勢いを感じました。もちろん、これは球を動かしているからかも知れませんが、動く球は当然伸びる球ではないので、スピードがなくても奪三振の多い上原とは球の質が違うように思います。

おそらくシーズンに入ればインコースをもっと使いながら、左右高低緩急全てを使ったピッチングをすることになると思います。というか、そうしないと抑えられないでしょう(実際、そうやって勝ってきたわけですし)。今年、ボールが飛ばなくなったのと、ハムは守りが強力ですので、一年間先発をさせてもらい、かつベンチがしっかり継投を考えれば(打者三巡目からはキツイでしょう)、そこそこ勝てるとは思います(僕は8勝6敗を予想してます)。が、長続きするかというと大いに疑問符がつきます。壁をどうやって乗り越えようとするか、というところに興味があります。
2011/02/28(月) 12:21:00 | URL | Micawber(ミコーバー) #-[ 編集]
Re: タイトルなし
Micawberさん

お返事有難うございます!スポーツネタばかりに反応して申し訳ありませんが^_^;

ちょっと気になりましたので、僕もYouTube見てみました!おっしゃる通り、同年代の人、沢村や大石と比べるとちょっと球威が物足りなさそうに見えますよね>< そういえば、Micawberさんが書かれていましたフォークですが、ストレートに近い速度でカット気味に沈んでるだけですので、あれはツーシームですね^^; まあ色々温存してるそうですし、実際にどれだけ活躍するかは開幕してみないと正直わからない感じですかね^^

一方で、このままのスタイルですと、なんか30代の投球内容みたいで、ちょっと寂しい気も致します…勝つために仕方ないと言えば仕方ないのですが…やっぱりマスコミがやたらに持ちあげすぎで少し心配です(-_-;) 個人的には、将来のこともありますし、打たれてなんぼですので、マエケンやマー君みたいに若さを前面に出した投球を見たいです(*_*)

ついでで申し訳ありませんが、阪神・高浜は残念でした>< 素人にも予想がつくような、わかりやすい結果でしたよね(笑)

また長々と失礼しましたm(__)m いいピッチャーたくさん入ったので、開幕楽しみです!!
2011/03/01(火) 08:28:21 | URL | Suzuki #-[ 編集]
Suzukiくん
Suzukiくん

再びコメントありがとうございます。
そう、どうやら僕がフォークだと思っていた斎藤くんのボールは全てツーシームのようですね。ツーシームという球は、僕の認識ではもう少し変化が小さいように思うのですが、色々あるようです。ただこの球も含めて、報道でよく言われるところの「動く球」、というのはたしかに厄介なんですが、手元で伸びる球とは根本的に違いますので、慣れられると厳しいですよね。それでもスピードがあるなら捉えにくいですが、そこまで速くないですからね。そういう意味で、前回のコメントでは、「チームが継投を上手く考えればそこそこ勝てる」、というような事を書きました。

たしかに若いのに老成したようなピッチング、という側面はあるかも知れません。ただ、僕自身は星野(伸之)のような技巧派投手が好きなので、斎藤くんが力に固執せず、どれだけ頭を使ってプロに対するかを楽しみにしております。何にしても、若手で面白いピッチャーがいっぱい出てきましたので、開幕は楽しみですね。うちはそういうピッチャーいませんけど(苦笑、あ、西が化ける可能性を持ってますが、ルーキーではありません)。
2011/03/03(木) 13:13:42 | URL | Micawber(ミコーバー) #-[ 編集]
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