イギリスのR大学に留学していた近視読者ことミコーバーの日々の生活を描いたブログ。
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見せてもらおうか、アホのアメリカ人演じるホームズの面白さとやらを!
2010年05月18日 (火) | 編集 |
今日は朝から『リトル・ドリット』のお勉強。
昨日、論文の構成をかるーくメモ帳(パソコンの)にまとめてみたところ、このLDの部分がうまく書けなかったので、これはもっと考えねばならんと思った次第である。確かに途中までは考えていたが、途中まで考えたところで、他のことを調べだしていたので、中途半端になっていたのは否めない。真剣に考えていくと、これまでの論に当てはまるところも当てはまらないところも出てきて、さてどうしたものか、と悩むところである。


それはさておき、

今日は久しぶりに、一年に数えるほどしか映画を見ない近視読者ミコーバーによる映画評(というか感想)を一つ書いてみたいと思う。私が今回見たのは、







「Sherlock Holmes」








そう、昨年イギリスで公開され、予告編を見た私が、「アホのアメリカ人のホームズじゃないか」と言った、その作品である。日本ではつい先ごろ公開されたと記憶しているが、イギリスでは5月17日、つまり本日、早くもそのDVDが発売された。そして、イギリスのアマゾンは非常に優秀なのか、17日発売なのに、私の手元に14日に持ってきてくれたのである(日本ではありえない)。というわけで、15日の夜、10時半から1時頃まで、眠い目をこすりながら見た。



まず、あまり映画を見ない私が、私にしては遅い時間に、まとめて最初から最後まで映画を見た、という事実が示唆しているように、この作品、なかなか面白かった。

本作は、ホームズ物の醍醐味である謎解きよりもアクションにより主眼をおいた娯楽大作、と銘打たれていたと思うが、まさにその宣伝通り。ともかくアホのアメリカらしく、3分に1度はアクションシーンが登場する(と言って、文字通り計測しないように)。しかもそのアクションぶりたるや、シャーロック・ホームズが西部警察に変身したのかと思えるほど派手。従って、犯人はどうやって犯行現場から立ち去ったのか、凶器はどこへ行った、などと考える必要はなく、ただ楽しめば良い。謎解きは適宜、というかまとめて最後の最後にホームズがやってくれる。娯楽映画としては、方針は間違っていない。

そのホームズ自身も悪くなかった。というか、なかなか格好良かった。
あんな帽子とあんなコートをかぶってイギリスの街を歩き、会う人ごとに振り向かれ、挙句の果ては図書館で「Sherlock」とまで呼ばれたこの私が言うのだから、まあ間違いあるまい。もちろん、ジェレミー・ブレットのような、典型的イギリス紳士的ホームズの格好良さを、ロバート・ダウニーJr演じるホームズに求めてはいけない。何しろ、全く品がないのだから。
しかし、知っている人は知っていると思うが、ホームズは変人である。まさに、天才と変人は紙一重、と言う言葉通りの存在だ。その変人部分を過度に強調していくと、こうなるかもしれない、と思わせるものが確かに彼にはあったのだ。また、例えば墓の前でワトスンと一緒にいるシーンが有る。この場面でホームズは、マトリックスかよ、と思わせるような、丸いサングラスをかけている。この時代にサングラスがあったかどうか、そういうところは置くとして、その姿は妙に様になっていた。その場面だけ見ていると、ヴィクトリア朝のホームズではなく、現代のホームズ、という印象すら受ける。
英語もどうかと思ったが、「彼は完璧にイギリス人に成りきっていた」という監督のコメントは大げさに過ぎるとしても、つとめてイギリス人らしくしゃべっていたと思う(註:ただし、本編ではイギリス人らしい発音であるのに、インタビューになった途端、典型的なアホのアメリカ人の発音になったのは、やむを得ないとは言え、ガックリ来る。このあたりは、ワトスン役のジュード・ロウとの違いである)。

もう一点。この作品は、外面だけ捉えると、どう考えても熱心なホームズファンをバカにしているように見えてしまう。しかし、熱心に見ていくと、なかなかどうして、原作へのオマージュが多々見られ、原作ファン、シャーロキアンへの配慮も感じられる。例えば、ネタバレになるとまずいのでたくさんは書けないが、作品冒頭、ワトスンが悪人に突っ込みかかったところ、ホームズが制し、よく見ると、ワトスンの目の前に、ガラスの槍のようなものが突き出ている、というシーンが有る(そのまま突っ込んだらお陀仏だったわけだ)。ヒヤッとしたワトスンが、どうして気づいたんだ、と尋ねたのに対し、ホームズは、"Because I looked for it."と冷静に答える。有名すぎるかも知れないが、これはDancing Man(踊る人形)に出てくる一節である。また、二人が墓から見つけた懐中時計の持ち主について推理する場面が出てくるが、ここで用いられる推理の大部分は、Sign of Four(四つの署名)に出てくるワトスンの懐中時計の推理とほぼ同じである(唯一の違いは、それがワトスンの持ち物であるか否かと、そこに刻まれたイニシャル)。無数に存在するので、他の探索は各人に任せるが、このように、原作ファンならば、「くくく」と笑ってしまうようなシーンが多々存在し、なかなかどうして、楽しませてくれる。


もちろん不満点もある。一つはやはり、ネットでも話題になったが、どうもホームズに同性愛的傾向が見られる点だ。まあこれは、ナキニシモアラズ、なので、これだけなら必ずしも悪いとは言えない(ただし、アリだと言っているわけではない)。実際、映画の中では、ワトスンに対するホームズの愛はかなり一方的で、ワトスンは明らかに強い友情(あるいは腐れ縁)しか感じていないのに、ホームズが過度の愛情を持っているように描かれている。従って二人は同性愛的関係なのではなく、あくまで一方的なものだ。ただ、これと同時に、ホームズはどうもアイリーン・アドラー(女性)の事が気になって仕方ないようにも描かれている。劇中、アドラーは世界を股にかける大泥棒と言う、原作ファンからするととんでもない設定で登場するが、ホームズは明らかに彼女を気にかけている。つまり、ホームズはバイセクシャル、というような描かれ方がしてあるのだが、これはなんぼなんでもないだろう。ちょっとやりすぎである。

もう一つ、ミステリーよりもアクションを重視した結果、アクションはそれなりに見ごたえのあるものが出来上がったのだが、どうしても謎解きにあっさり感が出てしまった。というのも、この謎解き、あまりにもヒントが少なすぎて、視聴者には推理が不可能なのだ。まあそれ自体、アクションメインという作品の性質を映しているとも言えるし、良いところでも、このアクション性と娯楽性を挙げたわけだが、それでももう少し何とかして欲しかった。例えば、大部分の謎の解明をクライマックスの1分でやってしまうのではなく(これは大げさな話ではない)、もう少し小出しにするとか、である。
ついでに言うと、このミステリー、ミステリー読みからすると、ちょっとセコイ(笑)。まあ求めすぎは禁物ということか。


というわけで、このSherlock Holmes、明らかなイロモノだが、見てみると、意外と原作へのオマージュもしっかりとしており、なかなか楽しめる映画に仕上がっていたと思う。ジェレミー・ブレット演じるホームズが好きすぎて、ああいうホームズ以外はありえない、と思っているような人でもない限り、ある程度は楽しめると思う。





ただ、多少なりともホームズに愛着のある人に一つアドバイスを。この映画を観るとき、タイトルこそSherlock Holmesとなっているが、これがあの「シャーロック・ホームズ」についてのお話だ、と思って見てはいけない。ではどう思えばよいのか。日本人にとっては簡単である。









ルパン三世









だと思えば良い。これで、特定の美女に弱く、やる時はやるが、抜けたところのあるホームズ、何故か仕込杖を持ち歩き、最後はその杖を使って敵を斬りまくるワトスン(またつまらぬものを斬ってしまった)、女大泥棒にして、ホームズを度々翻弄するアイリーン・アドラー(明らかに峰不二子的ポジション)の物語を楽しむことが出来るだろう。ガイ・リッチーは間違いなくルパン三世を見ているはずだ。




なお、作品を見た人はすぐに分かると思うが、明らかすぎるほど、続編を意識している。
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コメント
この記事へのコメント
私も見ましたよ~
フランクフルト行きのルフトハンザにて。
あの、いっちゃった感じのホームズは妙に心に残りました。
神経質にヴァイオリンをつま弾く様子は非常にセクシー。
他の役者さんたちも個性的で良かったなぁ。
それにしても、映画見たの、めちゃくちゃ久しぶりでした。
2010/05/18(火) 01:05:38 | URL | おけいはん #-[ 編集]
Re: おけいはんさん
おお、なんと奇遇な。しかも飛行機の中で見れるとは、なかなか良いですね。
バイオリンをつま弾くシーン、僕にはあれがどうしてもウクレレにしか見えませんでした(笑)。普通に考えると、手でバイオリンを弾くなんてありえないと思うのですが、しかしあのホームズならば、さっそうと弦でバイオリンを奏でるよりも、どこか遠い目をしながら、ポロンポロンと指でかき鳴らす方が似あうような気がしました。

しかし、先日も別の機会、別の人について感じたことですが、やはり音楽をやっている方は、まず楽器とかに目が行くのですね。
2010/05/19(水) 21:34:42 | URL | Micawber(ミコーバー) #-[ 編集]
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