イギリスのR大学に留学していた近視読者ことミコーバーの日々の生活を描いたブログ。
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Take the Tube Train
2010年04月13日 (火) | 編集 |
昨日はエッセイを書いていたらなかなか時間がかかってしまい、しんどくなったので日記は書かずじまいになってしまった。
というわけで、遅ればせながら、土曜日の出来事の後半について書いてみる。


・1時半頃、大英博物館近くのカフェで、アフタヌーンティーを堪能した後、店をあとにする。っと、近場に土産物屋があったのだが、そこの立て看板が目に入った。これである。


オリバー!


ディケンズの名作、「オリヴァーツイスト」のミュージカル、「オリバー!」である。相当有名な作品であるが、現在もなお上演されているようだ。私は一度だけ、テレビで見たことがある。なかなかに面白かった。ただ専門家として一言いわせてもらえば、ミュージカル「オリバー」は明るすぎる。救貧院のおかゆのシーンからフェイギンのスリ集団まで、全体に何かコメディアスで、明るい印象がついてまわる。しかし、実際に作品を読んだ人は容易にわかることだが、この作品自体は決して明るいものではない。いや、別に「明るさがない」と言うつもりはなく、その明るさと暗さが絶妙に配置されているところが面白いのだが、これはすなわち、どちらか一方では作品として成立し得ないことを意味する。ミュージカル「オリバー」はそのうちのほぼ前者にのみ光を当て、見て楽しめる作品に仕上げたわけで、その手法は勝算に値するが、逆に言えば、面白い、というただそれだけであって、それ以上ではない(というのが、演劇素人の私の個人的な意見である)。


気を取り直して土曜日の話へ。

・セントラルラインで(といっても、「お父様」のいるところではない)ボンドストリートへ向かい、そこでジュビリーラインに乗り換え、一路スイスコテッジという駅を目指す。

・途中、ベイカーストリートで、明るいイギリス人が電車におり際、「ベイカーストリートだ!」とこちらにガッツポーズをしてきた。どういうわけだろうか?おそらく、私の服装(帽子とコート)に大いに反応したのであろう。別に私はコスプレしてるわけではないのだが。。。

・スイスコテッジ到着。落ち着いた静かな場所である。徒歩2分と書いてあったが、本当に駅を出たら目と鼻の先だった。劇場の外見はこんな感じ。


ハムステッドシアター1


見ての通り、建物自体新しく、イギリスらしからぬ清潔感がある。実際、劇場はいろいろな意味で快適だった。

・あたりを見てまわると、劇場の裏に桜並木が。


ハムステッドシアター2


・それほど大きなものではないが、ここまできてこのようなものを堪能出来るとは思っても見なかった。奥の方に人が見えると思うが、これは、お花見をしている中国人学生達である。酒は一切要らないが、お花を見ながら弁当を食べるのはちょっと羨ましい。お花見、行きましたか?

・劇場の前をウロウロしていると、どうも見覚えのあるイギリス人男性がいる。うーん、これはひょっとしてそうかな、いや、でも間違えたらどうしよう、と10分くらい逡巡したが(長っ)、彼もいつまでったってもどこへも行かないので、思い切って、


I presume Dr Tony Williams?


と聞いてみる。案の定、本人だった。
実はこの方、数年前に日本にこられており、その際K大でも一つ授業をしていただいたのだが、その後で、私が銀閣寺やら南禅寺やらを案内して回ったのである。向こうもどこかで見たことがあるぞ、と思っていたらしい。K大の話が出た時点で、すぐに分かってもらえた。しばらく、近況報告などを行う。

・いよいよ開場。赤いシートが段々になっている、まさに劇場っぽい場所。収容人数は250人から300人だろうか。見ていると、次々に席が埋まっていく。なかなかにチケットの売上は好調のようだ。

・ピアノの音が鳴り出し、舞台スタート。アンデルセン役の男性と友人の会話で始まる。どうやら、アンデルセンが、ディケンズ宅に訪問していた時のことを回想する、という趣向らしい。

・このアンデルセン役の男性、唯一の黒人さんである。しかし、アタリマエのことではあるが、アンデルセンと言う作家は白人である。これはどうなのかなあ、はやりのPolitically Correctnessのせいかなあ、と色々考えていたのだが、最後まで見て、あ、そうではなかったんだな、と理解出来た。この話は、デンマーク人のアンデルセンが、ディケンズの自宅に滞在した5週間を描いているのだが、彼はデンマーク人であまり英語が理解できないために、目の前で繰り広げられる、ディケンズの家庭内不和がよく分からなかったり、うまく自分の思いを伝えられなくてトラブルを起こす、そういう物語である。言い換えるならば、デンマークと言う他所から他者がやってくることで物語が動き出す、と言って良い。そのアンデルセンの他者性を視覚的に表現するために、唯一の黒人俳優さんがアンデルセン役で起用されていたのであろう。そう考えると、この配役はなかなかにヒットである(ただし、当たり前だがこれは人間の生まれながらのカラーを舞台の道具として利用しており、すべての人間が賛同できる手法ではないだろう)。

・ディケンズの息子役の男性は、あー、ディケンズが心配するのも無理ないな、と思うくらい頼りなかった。

・ディケンズ家のメイドさんがやけに可愛かった。いわゆる本格的なメイドさんなのだが(メイド喫茶とは違う)、こんなメイドが家にいたら、94.5%以上の確率で何か問題が起こるに違いない、と思わされた(実際、問題は水面下で起こっている)。

・ディケンズと息子がクリケットをする場面が出てくる。ディケンズがクリケットをプレーしていたのかどうか、浅学菲才の私は知らない。そういえば、作品中でクリケットをする場面は思いつかない。どこかあっただろうか。。。スキットルズならばともかく。。。

・途中、30分ほどの休憩がある。イギリス人は幕間休憩の際にアイスクリームを食べると聞いていたが、本当に食べていて笑えた。

・後半戦も無事終わり、休憩時間も入れるとだいたい1時間45分ほどの、調度良い長さの舞台だった。

・舞台が終了後、そのまま帰路に着く。ベイカーストリートで乗り換え用としたところ、駅の標識が独特であることにようやく気がつく。


ベイカーストリート駅


さすが、ベイカーストリートだ。



タイトルの元ネタはもちろん、『Take the A Train』。
なお、Tubeとは、イギリスロンドンの地下鉄の名称である。
スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。